安曇野のおいしい秘密

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安曇野の土の秘密

安曇野の野菜の旨さの秘密 ~土、気候、そして人~ - Background

長野県松本地方事務所の松本農業改良普及センターに籍を置く、下島秀昭さんにやっと会えたのは取材アポを取ってから10日も後のことでした。下島さんの仕事は地域のお百姓さんのところに出向いて農業相談・指導をすることで、県の北から南、東から西まで農業の現場を知り尽くしていると言っても決して言い過ぎにはならないでしょう。赴任先で見て来たさまざまに異なる条件の畑や田圃、直に接した数え切れないお百姓さんたちの声…。 それら長年に渡る経験を元に作ってくれた資料を用意して、下島さんは私たちを待っていて下さいました。「あくまでも下島(さん)が思っていること」という枕詞が付いた貴重な資料に基づいて、安曇野の野菜がどうして旨いのかを詳らかにしたいと思います。

長い時間を経た土地

安曇野の野菜栽培は、実は犀川等の河川流域ではなく、山手の方での栽培が多いのです。南の塩尻市から朝日・山形両村、そして安曇野市のうち特に堀金、有明地区にかけては、御岳山の噴火にともなう火山灰がベースの黒ぼく土土壌です。火山灰そのものは焼けた赤土ですが、そこに長い年月がかかって草や葉、虫などが堆積、混和、分解されて黒ぼく土になりました。今でも畑を掘ると50cm以下の深さに赤土が見られるところもあるようですが、黒ぼく土は非常に軽い土で有機物を多く含み、野菜作りには最適です。そして忘れてならないのは、お百姓さんたちの土作りへの努力があったことです。

安曇野の気候がつくるもの

農作物は昼間、光合成によって栄養を作りその体内へ蓄積します。陽の当たらない夜間は、呼吸によって蓄えた栄養を消耗しますが、昼間の蓄積量と夜間の消耗量の差によって成長をします。夜の気温が高くなると呼吸量が多くなり、消耗も激しくなります。人間も同じですよね…。安曇野は盆地であるため夏は昼間の気温が高く、光合成は盛んに行なわれますが、野菜たちの呼吸量も増えます。しかし、夜間気温が下がるので夏でも昼と夜の温度差が大きく、これが作物の栄養、養分の蓄積につながり、美味しい野菜ができると考えられるようです。また秋から冬にかけて野菜の甘みが増すのは、安曇野の寒さに耐えるため作物が体内に糖分を蓄え、体内濃度を上げることにより、耐寒性を増しているためなのです。さらに、年間降雨量も1000mm前後と適度で、日照量が多いことも安曇野の野菜が旨い大きな要因なのです。

つくり手としてのプライド

農業は生業として成り立たなければならないのですが――日本の食糧自給率が極めて低いのは何故なのか、というような大きな問題を孕んでますね―― 工業製品とは違い、効率化だけを求めると良い作物はできません。土作りから始まり、種蒔き、植付け、管理、収穫と手間隙かけて作物は生まれてくるのです。決まったマニュアルなど無いに等しく、その年の気候の変化、生育状況に合わせた管理など、何も喋らないだけに子供を育てるのより難しいと言えるでしょう。長年の経験がモノをいうのです。過日取材に伺った、県立南安曇農業高等学校の羽山功先生が仰言った「農作物にとって最高の肥料は人の足音」という言葉が強く想い起こされます。こだわりを持ち、内なるプライドに燃えるファーマーが、安曇野には大勢います。

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